タンポポだより
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「Swing JOURNAL 2004.2月号」
 
「Jazz in Toranomon vol.12」は2003年のシリーズ最後を飾るにふさわしいビッグ・ネームの女優、宮本信子が出演した。1964年に初舞台を踏んだ宮本は、その後映画や演劇で活躍を続け、伊丹十三監督作品「マルサの女」で日本アカデミー賞主演女優賞を獲得。「お葬式」「あげまん」「ミンボーの女」等、伊丹映画に主演し、日本を代表する女優の地位を揺るぎないものにした。そんな宮本が12月に行ったコンサートは、本シリーズのステージを飾った出演者としては、 異色のアーティストと言えるかも知れない。大女優がジャズ・ボーカリストとして、歌一本でオーディエンスと向き合うシチュレーションは、“JTアートホールアフィニス”のステージでは初めての出来事となった。
 会場を埋め尽くしたオーディエンスにとっては、TV、映画、舞台で親しんでいる女優のパフォーマンスをインティメイトな空間で楽しめるわけであり、宮本が振り撒く女優のオーラが華やいだ雰囲気を醸し出した。ステージの終盤に進むと、何人もの熱心なファンが花束やプレゼントを宮本に手渡し、微笑ましい空気が生まれた。スタンダードジャズのみならずラテン、プラス・バンド等、内外から様々なジャンルのアーティストを招いてきた「Jazz in Toranomon」は、今回宮本が新しい1ページを加えたことによって、さらに幅広いラインアップのイベントになったと言えよう。「街を元気にしたい」という思いのもと、東京港区・新橋〜虎ノ門地区を中心にクリーン・キャンペーンや祭事などに積極的に参加している、地域貢献型イベントならではの親近感に溢れた、初体験の観客をも引きつけるものだった。
 本年度は昨年までと同様、日本では知名度が高くなくても音楽の楽しさを体験できる海外のアーティストや、ジャンルにとらわれずに優れたエンタテイメント性を持つ国内のアーティストの登場に期待したい。「Jazz in Toranomon」が新たな音楽情報の発信拠点としてアピールすることも求められるだろう。(杉田宏樹)

「ADLIB 2004.2月号」 

<宮本信子が歌い手としての魅力をちりばめた“Jazz in Toranomon”>
 女優・宮本信子のジャズ・ステージだ。これが実に面白く、また興味深いライヴとなった。“歌い始めて4年…”だそうだが、やはり女優。普通のシンガーのステージとは一味も二味も違う。一言でいうと、“シンガー・宮本信子”を演じ切る女優・宮本信子、という感じとしてのオーラも感じさせる。
“美空ひばりさんの曲をたっぷりと…”というMC通り、「(月光値千金)や(車屋さん)などの曲を散りばめながらのステージ。宮本信子は、歌手として、例えば単に聴かせるとか、或いは自在にテクニックを披露するというタイプではない。あくまでも、自ら曲のイメージを作り、その世界を自分で演じて聴かせる、というスタイルだ。だからこそ、曲の雰囲気を大事にするし、歌詞もかみしめるように大切に歌う。そんな姿勢がステージからひしひしと伝わってくる。歌声のみならず、満面の笑みを浮かべる表情や仕草一つからも、それが感じられる。更なる盛り上がりを予感させつつ休憩。後半は、髪型も衣裳も変わって登場する。今度は 髪もアップにし、トップはスパンコールも眩しいシルヴァー、ボトムは黒のロング。<More Than You Know>のところで、少々意外なステージ・トークが。この曲のヒットさせた往年の歌手、リー・ワイリーの名前が上がる。リーと言えば、1930年代に一世を風靡したアメリカの女性歌手だ。そんな彼女が大好きで、何とオクラホマ州の彼女のお墓参りまで行ったという。また、ジャズ・スタンダードを何曲も歌い継ぎ、徐々に盛り上げる。途中、作曲家でサックス奏者の本多俊之を紹介する場面も、女優・宮本信子の最大の理解者であった夫、故伊丹十三氏の映画音楽の作曲家としても知られる彼が作曲を担当し、宮本自身の作詞による<シャンパンが抜けない>は、観客の涙を誘った。始まりから終わりまで、名女優・宮本信子の魅力が最大に堪能出来たステージであった。(櫻井隆章)
 

 

 
 
   
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